公務員の定年延長でも退職金は減らない!ピーク時特例を簡単に解説

公務員の定年延長で退職金は減らない(ピーク時特例) 公務員の給与|福利厚生
公務員の定年延長で退職金は減らない(ピーク時特例)
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公務員の定年延長により、延長後は給与が7割減になりますが、退職金は減るのでしょうか。定年が延長したために、60歳で退職した場合は定年前だから退職員が減るのでしょうか。

結論から言うと、いわゆる「ピーク時特例」( 国家公務員退 職手当法の第5条の2 )が適用されますので、退職金は減りません。詳しく解説します。

定年年齢の引き上げに関する国家公務員法改正案と地方公務員法改正案が令和3年6月4日に可決、成立しました。地方公務員も2023年度に60歳に到達する人から、定年年齢を1歳ずつ段階的に引き上げられます。これから、各自治体での条例改定に向けた動きが本格化しますが、定年後の処遇や、新規採用が抑制されるなどの課題は山積みです。

結論:定年延長により退職金は下がらない(定年退職扱い)

退職金はピーク時の給与で計算されるため、減額はありません。

定年延長後に60歳で退職したとしても定年退職として退職金計算されます。

退職金は働き方により、変わってきます。ケース別に解説します。

(1)役職定年制の下で新定年まで現役続行した後、定年退職金をもらうか
(2)退職金をもらった後、定年前再任用短時間勤務をするか

特定日以後の俸給月額の7割への引き下げについては、いわゆる「ピーク時特例」( 国家公務員退 職手当法の第5条の2 )が適用されます。

退職手当の「基本額」は、 次の期間を分けて計算します。
・現在の定年60歳の年度までの期間
・俸給月額が7割 となる特定日以降の期間

60歳に達した日以後に、定年前の退職を選択した職員が不利にならないよう、 当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定する。

総務省サイト(2020年)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000675581.pdf

60歳に達した日以後の職員の退職手当

(1) 退職事由は「自己都合」ではなく「定年」としての取り扱い
(2) 手当の算定方法はこれまでと同じ、給料月額の引き下げには「ピーク時特例」を適用

全日本自治団体労働組合 総合労働局 (2020年6月)
https://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/a095b9600776e4a8471c568a0b8a37d7.pdf

60歳以降も現役続行した退職金(役職定年制)

役職定年制の下では給与は7割に削減されますが、各種手当(扶養手当、住居手当)は続行します。

退職金はピーク時の給与で計算されるため、減額はありません。

これに加えて、60歳以降の退職金積上げは、7割削減後の給与計算にて加算されます。

60歳以降に再任用を選んだ場合の退職金(定年前再任用短時間)

定年前再任用短時間勤務では、現状の再任用制度と同様、給与は単一号俸。扶養手当や住居手当は無し。

退職金は現状どおり、退職所得として扱われます。定年前であっても退職所得控除は使えます。

定年を延長した場合にその延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金の所得区分について、(中略)所得税基本通達30-2(5)に定める給与に該当し、退職所得として取り扱うのが相当であると考えます。

国税庁: 定年を延長した場合にその延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金の所得区分について
https://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/bunshokaito/gensen/180306/besshi.htm

退職金の計算は、りそなグループのサイトが分かりやすいです。

退職金にかかる税金は、「所得税」と「住民税」

りそな銀行:退職金にかかる税金、所得税・住民税の計算方法、控除額など解説
https://www.resonabank.co.jp/kojin/shisan/column/taishoku_unyo/column_0001.html

退職金の計算方法

退職手当額 = 基本額(a) + 調整額(b)

(a) 基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
(b) 調整額 = 調整月額のうちその額の多いものから60月分の額を合計した額

※退職日給料月額は、ピーク時特例を適用
※退職理由は、60歳以後の自己都合でも「定年退職」を適用

よって、役職定年制を選んだ60歳以後の職員が、定年前に退職しても退職金の減額はありません。

退職所得控除額の計算方法

退職金は金額が大きいため、税制上優遇され「退職所得控除」が使えます。定年前再任用を選んだ場合でも適用されます。(詳細後述:国税庁回答)

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
※合計が80万円に満たない場合は80万円
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

定年延長により退職金はどうなる まとめ

(1)60歳に達した以降の退職手当は定年扱いに

退職手当は、これまでより不利にならないよう、ピーク時特例計算があります。

(2)定年前再任用短時間勤務制度

60歳以降、これまでどおり短時間再任用を選択できます

(2)役職定年制を導入

管理職の職員は、60歳に達した翌年度までに管理職以外へ降任します。現場でバリバリ働けるかといえば、疑問がでるところなので、新しい職域が必要になりそうですね。

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