公務員定年延長の改正法案が決定しました(2021年6月4日)。2023年(令和5年)から2年毎に1歳引き上げられます。
公務員の定年延長の影響により、2023年度からの10年間、公務員の新規採用人数が減ります!
理由は、公務員の採用数は「条例定数の欠員補充」によるためです。
定年退職者が出ない年は、普通退職への欠員補充になります。
条例定数を増やすのも難しく、なぜなら、⾏政需要が増加するわけではないため、定年引き上げによって、定数を増員する理由にならないのです。厳しい予算上も難しいでしょう。
小規模自治体の場合は、採用試験が2年に1度になることもあります。
採用試験への影響をまとめました。採用試験合格を目指すなら、2022年度が勝負の年になるでしょう。
公務員定年延長の影響で、新規採用が減る年度一覧
定年退職者がいない年度は、採用(欠員補充)が0人になる可能性があります。
採用数が減る年度は、次のとおりです。
- 2023年度(令和5年度)
- 2025年度(令和7年度)
- 2027年度(令和9年度)
- 2029年度(令和11年度)
- 2031年度(令和13年度)
2023年度(令和5年度)に、定年が1歳引き上げられます。60歳時点で、「定年前再任用短時間勤務」か「現役続行」を選びますが(詳細後述)、現役続行を選んだ場合は、定数補充されない可能性があります
定年延長の年度は次のとおりですので、前述の年度は採用数が減ります。
和暦 | 現行 | R5/R6 | R7/R8 | R9/R10 | R11/R12 | R13~ |
西暦 | 2023 | 2025 | 2027 | 2029 | 2031 | |
定年 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳 |
2023年度(令和5年度)に、定年が1歳引き上げられます。60歳時点で、「定年前再任用短時間勤務」か「現役続行」を選びますが(詳細後述)、現役続行を選んだ場合は、定数補充されない可能性があります
※下表黄色が、60歳の方が定年前再任用短時間勤務か、現役続行を選べる期間
下表橙色が、定年年齢
よって、欠員補充なしの可能性がある年度は、次のとおりです。
令和 | 西暦 | 定年退職年齢 | 定年退職者の欠員補充 |
4 | 2022 | 60歳 | 2022年度 60歳の者 |
5 | 2023 | 61歳 | 欠員補充0人の可能性! |
6 | 2024 | 61歳 | 2023年度 60歳の者 |
7 | 2025 | 62歳 | 欠員補充0人の可能性! |
8 | 2026 | 62歳 | 2024年度 60歳の者 |
9 | 2027 | 63歳 | 欠員補充0人の可能性! |
10 | 2028 | 63歳 | 2025年度 60歳の者 |
11 | 2029 | 64歳 | 欠員補充0人の可能性! |
12 | 2030 | 64歳 | 2026年度 60歳の者 |
13 | 2031 | 以降65歳 | 欠員補充0人の可能性! |
14 | 2032 | 2027年度 60歳の者 |
2023年度以降は、採用試験が2年に1度になる?
普通退職が出ない場合は、採用試験が2年に1度になることも。
そのため、2年ごとに平準化して採用する方法も検討されています。
公務員採用数を増やせない理由(条例定数改正が難しい)
総務省による各自治体へのアンケートでも、定数条例の改正が必要と見込んでいるのは1割程度。定年延長になる年は採用試験自体が無い可能性もあります。
定年引上げ期間中のみ定員措置の調整があるかも
とはいえ、定年前再任用にするか、定年延長にするかの判断は、自主的なものなので、定員管理が難しいことになります。
そこで、定年引上げ期間中の一時的な調整のための定員措置が検討されることになるでしょう。(総務省で整理中)
【参考】公務員定年延長の狙い
平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえ、豊富な知識、技術、経験等を持 つ高齢期の職員に最大限活躍してもらうため、定年の65歳引上げについての国会 及び内閣に対する人事院の「意見の申出」(平成30年8月)に鑑み、国家公務員 の定年を引き上げる。
内閣人事局
https://www.cas.go.jp/jp/houan/210413/siryou1.pdf
人事院が平成19年から議論を続けていた趣旨は次のとおりです。
平成25年度の60歳定年退職者から無年金期間が発生し、平成33年度の60歳定年 退職者からは65歳まで原則年金が支給されないことに関して(後略)
人事院:公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会
https://www.jinji.go.jp/kenkyukai/koureikikenkyukai/h20_10/siryou/h20_10_siryou.pdf
公務員定年延長による公務員採用試験への影響 まとめ
2023年度から早速影響が出ると思われる採用試験。
定年前再任用短時間勤務や退職金について、魅力的な案が出ない限り、そのまま定年延長する方が多くなる可能性があります。
採用試験合格を目指すなら、2022年度が勝負の年になるでしょう。