公務員の不動産投資はどこまでOK?5棟10室ルールと2026年の基準改正

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まず結論

公務員の不動産投資は、禁止ではありません。規模が小さいうちは許可も不要です。

人事院の規則では、不動産の賃貸が次の規模に達すると「自営兼業」として、事前に承認(許可)が必要になります。

  • 独立家屋の賃貸:5棟以上
  • アパートなど独立した区画の賃貸:10室以上
  • 土地の賃貸:契約10件以上
  • 賃貸料収入:年額1,000万円以上(ただし条件あり。下記参照)

逆に言えば、この規模に届かなければ、承認を受けずに賃貸経営ができます。よく聞く「5棟10室ルール」とは、この基準のことです。

基準の根拠

根拠は国家公務員法104条と、人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用基準です。

兼業には「職員が自分で事業を営む」自営兼業という区分があり、不動産や駐車場の賃貸が一定の規模になると、この自営兼業に当たると定められています。

規模の判定は、棟数・室数・契約件数に加えて、賃貸料収入の額でも行われます。ここで見るのは、経費を引いた後の利益(所得)ではなく、家賃の総額(収入)です。

2026年4月に収入の基準が変わった

2026年(令和8年)4月1日から、自営兼業の制度が見直され、不動産賃貸の収入基準が変わりました。

項目2026年3月まで2026年4月から
賃貸料収入の基準年額500万円以上年額1,000万円以上
床面積の条件なし建物の賃貸のみで総床面積600㎡未満なら、収入基準は適用されない
棟数・室数の基準5棟以上/10室以上変更なし

ポイントは2つです。

1つ目は、収入のラインが500万円から1,000万円へ倍になったこと。従来は「家賃収入が年500万円を超えたら承認が必要」と言われてきましたが、その数字は2026年3月までのものです。古い解説記事では今も500万円と書かれていることがあるので、注意してください。

2つ目は、床面積の条件が新設されたことです。建物の賃貸だけで、建物の総床面積の合計が600㎡未満の場合、そもそも収入基準の対象になりません。つまり、家賃収入が1,000万円を超えても、棟数・室数の基準に届かず、総床面積が600㎡未満なら、承認は不要という扱いです。

一般的な一棟アパートの総床面積は、6〜8戸のものでも200㎡前後が多く、600㎡はかなり大きな規模です。多くの個人投資家にとって、実質的には棟数・室数の基準だけを見ればよくなった、と言えます。

基準を超えたらどうなるか

基準を超えること自体が禁止なのではありません。超える場合は、事前に承認を申請する、というだけです。

承認の基準は、おおむね次の3点です。

  • 職務と賃貸事業の間に、特別な利害関係がないこと(そのおそれも含む)
  • 入居者募集や集金、維持管理などの管理業務を管理会社などに委託し、職務の遂行に支障がないことが明らかなこと
  • 公務の公正さや信頼を損なうおそれがないこと

実務上の鍵は、2つ目の「管理業務の委託」です。自主管理で入居者対応や集金を自分でやっていると、職務への支障を問われやすくなります。管理会社に委託していることが、承認の前提として求められる形です。

逆に、承認が必要な規模なのに無断で営んでいると、兼業規制違反として懲戒処分の対象になり得ます。「超えたらダメ」ではなく「超えるなら先に申請」が正しい理解です。

地方公務員は基準が違う場合がある

ここまで書いたのは国家公務員の基準です。

地方公務員については、地方公務員法38条のもと、各自治体が人事委員会規則などで独自に基準を定めています。国家公務員の基準に準じている自治体が多いものの、2026年4月の見直しに合わせて改正済みかどうかは自治体によって異なります。

地方公務員の方は、「国家公務員は1,000万円まで緩和されたから自分も大丈夫」と思い込まず、自分の自治体の規則や人事課で現在の基準を確認してください。

よくある質問

Q. 家賃収入は、経費を引いた利益で判定しますか?

A. いいえ。判定は家賃の総額(収入)です。ローンの返済や経費を引く前の金額で見ます。

Q. 戸建て1棟とアパート数室を持っています。合算しますか?

A. 棟数と室数は別々の基準です。ただし収入基準では、不動産と駐車場の賃貸料を合算して判定します(2026年4月以降は、建物の賃貸のみで総床面積600㎡未満なら収入基準自体が適用されません)。

Q. 相続で実家を貸す場合も対象ですか?

A. 相続による賃貸でも、規模の基準に届けば同じ扱いです。規模が小さければ承認は不要です。

Q. 基準内なら、職場への届出も一切不要ですか?

A. 承認が不要な規模であれば、兼業としての申請は不要です。ただし自治体や所属によっては別の報告ルールがある場合があるので、不安なら人事担当に確認してください。なお確定申告は規模にかかわらず必要です。

まとめ

  • 公務員の不動産投資は禁止ではなく、規模が基準未満なら許可も不要
  • 棟数・室数の基準(5棟・10室)は変わっていない
  • 収入基準は2026年4月から年額1,000万円に緩和され、総床面積600㎡未満の建物賃貸だけなら収入基準の対象外
  • 基準を超える場合は、管理委託などを整えて事前に承認申請をする
  • 地方公務員は自治体ごとの規則を必ず確認する

不動産投資は、公務員の資産形成の中でもルールさえ押さえれば続けやすい分野です。規模を広げる前に、一度自分の物件が基準のどこに位置するかを確認しておきましょう。

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