人の申告は見てきた。でも、自分の申告は別物だった
私は元税務職員で、今は公務員として働きながら、中古戸建てと中古アパートの賃貸経営をしています。ブログの副収入もあり、毎年、確定申告をしています。
仕事では人の申告書を見てきました。だから自分の申告くらい、迷わずできるだろうと思っていました。
ところが、実際に自分の不動産所得の申告をしてみると、判断に迷う場面が何度も出てきました。制度を知っていることと、自分のケースに当てはめて判断することは、まったく別の話だったのです。
この記事では、私が本当に迷った2つのポイントと、税理士に頼むかどうかをどう決めたかを書きます。
困ったこと①|中古不動産の減価償却計算
1つ目は、中古不動産の減価償却です。
中古物件は、まず購入金額を土地と建物に分けなければいけません。土地は減価償却できないので、この分け方がそのまま毎年の経費の大きさを左右します。
さらに、中古資産には「中古資産の耐用年数」という計算があります。法定耐用年数を全部過ぎた物件なら法定耐用年数の20%、一部が経過した物件なら「残りの年数+経過年数の20%」という簡便法で耐用年数を求めます。建物本体と、給湯器などの建物附属設備を分けるかどうかでも、償却の進み方は変わります。
計算式自体は難しくありません。ただ、最初の設定を1つ間違えると、その後ずっと毎年の申告に響きます。「この按分でいいのか」「設備は分けるべきか」を、自分の物件に当てはめる段階で手が止まりました。
困ったこと②|修繕費か、資本的支出か
2つ目は、修理や交換にかかった費用が「修繕費」なのか「資本的支出」なのかの判断です。
壊れた部分を元通りに直すための支出は、一般に修繕費としてその年の経費になります。一方、性能が上がったり、価値が高まったり、使用できる期間が延びたりする支出は資本的支出として、資産に計上して減価償却していきます。
理屈はシンプルでも、現場の支出はきれいに色分けできません。同じ設備交換でも、壊れたから同等品に替えたのか、グレードの高いものに替えたのかで判断が変わります。金額の大小だけでは決められず、見積書や領収書を見ながら「これは維持のための支出か、価値を上げる支出か」を1件ずつ考える必要がありました。
迷ったときの私の判断材料は、次の3点です。
- 支出の前と後で、物件の状態は「元に戻った」だけか
- 以前より性能や価値が明確に上がっていないか
- 判断の根拠(見積書・領収書・工事内容)を、後から説明できる形で残してあるか
簿記3級を取っていたのが、ここで役に立った
申告作業を通じて、若い頃に取った簿記3級が思いのほか役立ちました。
仕訳と帳簿の基礎が分かっていると、会計ソフトが出してきた数字をそのまま受け入れるのではなく、「この取引は、なぜこの科目に入っているのか」を自分で確かめられます。減価償却の計算も、固定資産台帳の動きを見れば検算できます。
税理士に全部任せるにしても、自分でやるにしても、数字の違和感に気づけるかどうかは大きいと感じました。これから不動産や副業の申告をする公務員の方には、簿記3級は取って損のない資格だと思います。
税理士の無料相談と、弥生の青色申告を試してみた
迷いが残ったまま申告するのは不安だったので、私は2つのことを試しました。
1つ目は、税理士の無料相談です。自分の物件の規模と、迷っている論点(減価償却の設定と修繕費の判断)を整理して相談しました。そこで分かったのは、私のケースは論点自体は定型的なもので、規模も大きくないということでした。「毎年同じ処理の繰り返しになるなら、自分でも回せる」という見通しが立ちました。
私のように「頼むかどうか決める前に、まず論点を整理したい」という方は、無料相談で自分のケースを一度見てもらうのが早いと思います。
2つ目は、弥生の青色申告サービス(やよいの青色申告 オンライン)の無料期間です。私はブログの副収入を事業所得として申告していて、青色申告の帳簿付けが必要です。実際に触ってみて、帳簿付けの流れや、申告に必要な記録の付け方を確認しました。無料期間のうちに「自分の作業量で回せるか」を試せたのがよかったです。
結論|私は「自分でやる」と決めた。その理由と、頼むべきケース
試した結果、私は確定申告を自分でやることにしました。理由は3つです。
- 物件の規模が小さく、毎年の処理がほぼパターン化できること
- 簿記の基礎があり、ソフトの数字を自分で検証できること
- 無料相談で、自分の論点が定型的なものだと確認できたこと
ただし、これは「誰も税理士に頼まなくていい」という話ではありません。次のようなケースでは、費用を払ってでも税理士に頼む価値が大きいと思います。
- 物件を増やして規模が大きくなるとき、法人化を考えるとき
- 物件の売却、相続、贈与が絡むとき
- 修繕か資本的支出かで、金額の大きい判断が割れるとき
- 本業が忙しく、帳簿付けの時間が取れないとき
大事なのは、「自分でできるか」を感覚で決めないことです。無料相談で論点を整理し、ソフトの無料期間で作業量を確かめる。その2つをやってから決めれば、自分でやる場合も、税理士に頼む場合も、納得して選べます。
なお、投資まわりの制度の使い分けについてはiDeCoとNISAの記事に、公務員の資産形成の全体像についてはまとめ記事に書いています。
※この記事は私個人の体験をもとにした一般的な内容です。個別のケースの税務判断については、税理士等の専門家にご確認ください。

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