令和5年8月、人事院は「選択的週休3日」の働き方を可能とするよう、内閣と国会に勧告しました。
フレックスタイム制の活用によりほかの勤務日に働く時間を長くすることで、休みを1日増やす。総労働時間は維持するということです。
人事院勧告を引用しながら解説します。
公務員の選択的週休3日制(ゼロ割振り日)のポイント
現在、公務の運営に支障がないと認める場合において、フレックスタイム制の活用により、勤務時間の総量を維持した上で、週1日を限度に勤務時間を割り振らない日を設定することができる措置は、育児介護等職員に限り認められている。
これを、一般の職員にも拡大することとするものである。
勤務時間管理システムの改修等実施に必要な期間を考慮すると、令和7年4月1日から実施することが適当である
R5公務員人事管理に関する人事院勧告 https://www.jinji.go.jp/kankoku/r5/pdf/17_5houkoku_jinjikanri.pdf
勤務時間の割振りは、適切な執務体制の確保の観点から、遅くとも勤務開始前に行う必要がある。
しかし、臨時・緊急の業務の状況の変化等により、職員が当日の勤務時間の変更を申告した場合で、当該変更を行っても公務の運営に支障がないと認めるときは、勤務開始後であっても、将来に向かっての勤務時間の割振りの変更を可能とする。
勤務時間割振りの後出しも可とする!
公務員の選択的週休3日制(ゼロ割振り日)の改定内容
各省各庁の長は、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第6条第3項に規定する職員について、現行の同条第4項に規定する職員と同様に、4週間を超えない範囲内で週を単位として人事院規則で定める期間ごとの期間につき勤務時間を割り振らない日を設け、及び当該期間につき同法第5条に規定する勤務時間となるように勤務時間を割り振ることができるものとすること。
https://www.jinji.go.jp/kankoku/r5/pdf/18_5kankoku_kinmujikan_honbun.pdf
公務員の選択的週休3日制(ゼロ割振り日)はいつから?令和7年度開始予定
勤務時間管理システムの改修等実施に必要な期間を考慮すると、令和7年4月1日から実施することが適当であるとしています。
「公務の運営に支障がないと認める場合において」という点をどう対策するか、様々なデメリットを考慮して条文化する必要がありますね。
公務員の週休3日制(ゼロ割振り日)のメリット
公務員の週休3日制(ゼロ割振り日)のメリットを挙げます。
公務人材の確保
次の挙げるこれらのニーズは今後ますます高まっていくものと考えられるため、人材確保の観点。
- 近年、ワーク・ライフ・バランスがより重視されていること
- 定年引上げに伴い高齢の親族を有する職員の増加が見込まれること、
- 社会経済の変化等への対応や主体的なキャリア形成のための学びの奨励等が進んでいること
多様なワークスタイル・ライフスタイル実現とWell-beingの土台となる環境整備
ライフスタイルや働き方に対する価値観が多様化している状況に鑑みれば、個々の職員の事情を尊重した働き方を可能とする人事・給与制度の整備を推進することは、職員がやりがいを持って生き生きと働くことができる環境づくりにつながり、ひいては働く場としての公務職場の魅力の向上にも資する。こうした観点から、職員の希望や事情に応じた時間や場所での勤務を可能とする、より柔軟な働き方を推進する取組等も求められる。
https://www.jinji.go.jp/kankoku/r5/pdf/17_5houkoku_jinjikanri.pdf
公務員の週休3日制(ゼロ割振り日)のデメリット
公務員の週休3日制(ゼロ割振り日)のデメリットを挙げます。
1日あたりの労働時間が増える
選択的週休3日制が導入されたとしても、これまでと同じ業務量をこなさなければいけないため、出勤日が1日減る分、1日あたりの労働時間を増やすことになります。そもそも残業の多い部署では、生産性について考えなければ破綻します。
「公務の運営に支障がない限り」の実現性
公務に支障があるとされる場合は、申告とは異なる割振りをすべきとされてます。
職員が申告したとおりの割振りを行うと公務の運営に支障が生ずると認められる場合には、人事当局は当該申告と異なる割振りをすべきであることも、各職場まで周知される必要がある。
職員間のワークバランス
この選択的週休3日制を考えて、そのしわ寄せを考えて、憂いを抱える方も多いと思います。
公務員の選択的週休3日制(ゼロ割振り日) まとめ
DX化を進めたとしても、現在の人員でこの制度を実現できるか。業務量に応じた定員・人員の確保も併せて実施しなければ、一部の人に業務過多が続く体制が続きそうですね。
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